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固定残業代制

名古屋熱田社会保険労務士事務所が固定残業代制についてご説明致します。




固定残業代制とは、会社が毎月一定時間の残業がある事を想定し、あらかじめ決められた残業手当を毎月固定で労働者に支払う事である。

例えば、会社が過去の残業時間を集計し、毎月平均20時間の残業を個々の労働者がしている場合、固定残業代として毎月20時間分3万円支払う事とする等と取り決めるのである。

勿論、上記の3万円というのは例えばであって、実際には月給者であれば時給あたりの金額を算出し、それに1.25の割増賃金をかけた金額が1時間分の時間外労働手当であるから、その20時間分の金額以上とする必要がある。

固定残業代とすると毎月の給料はどうなるかというと、例えば上記のように20時間分の3万円を固定残業代とするとした場合、17時間しか残業してない者にも3万円を支払う必要が生じる。

そして、反対に20時間を超えて23時間残業した者はどうなるかというと、この場合は固定残業代の20時間を3時間超えている為、固定残業代とは別途に3時間分の残業代を支払う必要がある。

つまりは、20時間より少ない残業時間である者には残業代を多く払う事になり、多い残業時間である者には正当な残業代を払う必要がある為、会社にとってはメリットが少なく、デメリットが多い制度なのである。

その為、余程の理由がない限りは、名古屋熱田社会保険労務士事務所としては、この制度の取り入れには賛成しない。

それでは上記の余程の理由とはどんな場合かというと、次のような場合である。

(1)求人募集で多くの者に応募してもらう為に見た目の給料を多くする為

これはどういう事かと言うと、例えば、月給20万円で求人募集する際に、どう考えても月に20時間程度の残業をしてもらう事になると予想がついていたとしたら、月給20万円だけの表記で募集をかけるのではなく、月給20万円+固定残業手当3万円の表記で募集をかけるという事である。

こうすれば、求職者からしたら月給20万円ではなく23万円かと考える人も多くいる為、応募が来やすくなるのである。名古屋熱田社会保険労務士事務所の愛知・名古屋の顧問先も、この方法をとっている所が少なからずある。

(2)残業代計算を楽にする為

これもよくある理由である。特に助成金申請をする場合にそうなのだが、助成金申請をする場合には給与の支払い額が例え1円でも足りなければ助成金支給がされない場合がある。つまりは、かなりしっかりと残業代を計算しなくはならないのだ。

その点、固定残業代制をとっておき、少し多めに最初から支払っておけば、支払額が足りなくなるという事を防げるのだ。その為、助成金申請を考えている会社等は、この固定残業代制を取り入れるのも悪くはないかと名古屋熱田社会保険労務士事務所は考えている。

上記の2点のように使い方によっては悪くはない固定残業代制であるが、固定残業代として支払っている金額が残業代の代わりであると認められる為にはいくつかの条件がある。

(1)固定残業代制の設定

一つ目は、その支払っている固定残業代が何時間分の残業代に相当するのか、そしてその金額はいくらなのかについてしっかりと就業規則や労働条件通知書等に事前に明記しておく事である。

例えば、固定残業手当3万円(20h)という具合にである。

(2)残業時間の給与明細等への明記

2つ目は、残業時間をしっかりと計算し、給与明細等に明記しておく事である。例え、タイムカードを見た感じで、明らかに設定した固定残業手当の時間までいっていないと思った場合でも、残業時間はしっかりと計算して給与明細に明記しなくてはならないのだ。

以上の2点を守らなくてはならないが、それでも毎回残業代を計算し、間違っている可能性があるよりかはましであると名古屋熱田社会保険労務士事務所は考えている。

もっとも、今では給与計算ソフトが発達している為、ソフトの最初の初期設定さえ間違わなければ、しっかりと残業代も計算してくれる事が多い。その為、しっかりと給与ソフトの初期設定が出来るのであれば、無理して固定残業代制をとる意味は薄いかと、名古屋熱田社会保険労務士事務所は考えている。




以上、名古屋熱田社会保険労務士事務所が固定残業代制についてご説明致しました。

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